ぼのにっきのブログ

ぼのぼの好きによるブログ。 ・語学のお勉強のこと ・ヨーロッパでの生活のこと ・ぼのぼののこと ・らっこのこと などを投稿していきます。Twitterアカウント→bononikki@デュッセルドルフ (@bononikki1): https://twitter.com/bononikki1?s=06

夕方と雨上がり

ドイツには夕方がない。真夏の今は夜10時くらいまで明るい。北欧と違い、白夜はないので日は沈むのだが、それは10時以降だから、もう夜に日が沈むだけなのであって、夕方とは呼べない。昼と夜の間、空が赤くなることはない。夕方には夕方の匂いと哀愁があった。地面から立ち込める熱い空気、家路を急ぐ人たち。1日が終わっていくのだなぁという、やれやれという気持ちと、1日が終わってしまうなぁという、少し寂しい気持ち。それが恋しい。


ドイツには匂いがないなぁと思っていたけれど、今日初めて、あぁこれがドイツの匂いだと認識した。ドイツの天気はとても気まぐれ。にわか雨もよく降る。今日も午前11時くらい、部屋を換気しようと窓を開けて、はっと天気雨が降ったことに気づいた。窓を開けた瞬間、雨に濡れた木の葉、草、土の匂い、そして水分を携えた花の色が飛び込んでくる。雨雲が去って、主権を取り戻した太陽が、みずみずしい匂いと、活き活きした色を際立たせる。雨があがって嬉しいのか、小鳥が甲高い声で何か言いながら追いかけっこをしている。鳥が木の葉に乗ると、葉っぱから雫が落ちる。その雫が美しい水滴になり、すぐに土に沁みていく。


あぁどうしてこんなにも美しい瞬間が世の中に存在しているのかと思う。また、どうして人間はこの瞬間を美しいと感じる心を持っているのだろうと思う。どうして花は私達にとって美しい様子に咲くのだろうか、どうして自然は自然であるだけで私達の心を動かすのだろうかと、胸がいっぱいになって窓の前で立ちすくむ。夕方の哀愁とは違う。胸が締め付けられるような、途方に暮れるような気持ち。こんな気持ちを感じるフィルターが自分の心にあったのかと驚かされる。



日本を出て、日本の良さがわかる。外国に住んで、思いもよらないことを思う。とても細やかなことで、取るに足りないことかもしれない。だけど、私はこの小さなできごとたちを、めいいっぱい自分の心で受け止めて、ひとつひとつを噛みしめながら、嘘のない自分の言葉で表現して生きていきたいなと思う今日この頃です。