在外邦人嫌い
こんにちは、ぼのにっきです。
本帰国まで5日です。毎日変わりゆく日本入国の水際対策に注視している日々です。GPSやビデオ通話による体調の報告など、やることは増えますが、その対策が有効であればいいと思っています。
しかし、そこで気になるのが、水際対策強化のニュースにつく「入国させるな」「こんなときに帰ってくるな」というコメント。外国人に向けての者もありますが、日本国籍者に向けてのコメントも多くあります。
「日本企業駐在員は日本にも所得があって所得税納めてるし、
不動産ある人は不動産税も納めてるし、勤労も納税の義務も果たしてるよ?
法律的にも日本国籍があれば好きな時に日本に帰国する権利あるよね。
こんな時に帰ってくるなっていうけどさ、こんな時にしたのは私たちではないし。
こんな時に言葉の通じない海外で、日本より何倍も厳しい規制の中、
働いて生活してきたのよ駐在員とその家族は。
しかも、飛行機に乗る前と乗った後に検査して、3日後にも検査をするんだよ。
日本の感染者数が減少している理由が国民性にあるならば、
その国民性は帰国者にも備わっているはずだ。」など と言いたくなりますが、
どれだげ議論しても、議論は平行線をたどるのではないかと思います。
その理由は、コメントの背景に "在外邦人嫌い" があり、コメントをする人たちは、こんなご時世でなくても海外に住んでいる日本人が嫌いで考えたくない存在、だからだと考えます。コロナだからどうこうじゃなくて、あなた方は海外に住む日本人が嫌いなのでしょう、普段から在外邦人は鼻につくと思っているから「帰ってくるな」の結論にいたるのでは、と思うのです。
海外に住んでいる日本人といって、イメージするのは2パターンあると思います。
ひとつめは、日本企業の駐在員。
企業の金で海外に住んで、いい思いしやがって。自分は苦しい暮らしを強いられているのに、なんでお前らは?許せない!平時にはむかつくなと思っているだけ。だが、この期に乗じて言ってやろう「帰ってくんじゃねえよ。」
ふたつめは、外国人と結婚した人
主に白人男性と結婚した女性。チープなロマンスに落ちて結婚しやがって。日本人男性をダサいってバカにしてる。平時にはいけ好かないと思っているだけ。だが、この期に乗じて言ってやろう「帰ってくんじゃねえよ。」
と、私が分析するに「帰ってくるな」と言う人の根底にはたいてい平時から海外在住者に向けた負の感情があると思います。
それが実は、私もわからんでもない。確かに駐在員と聞けば、広い家と高級車を所有して、子ども服はいつもフランスのブランドもので、奥様は優雅にお茶会みたいなイメージがあった。国際結婚と聞くと子どもはバイリンガルで混血できっと可愛い顔立ちなのかなと思う。しかし、実際に海外に住んでみれば、人種差別は確実にあるという現実がまず大きく想定と違う。そして、裕福な人は努力してるか強運の持ち主で、それは日本でも同じ。国際結婚はうまくいかなかったとき実に多くのリスクをはらんでいるし、決して楽しくはない側面がたくさん見えてくる。
在外邦人嫌いの人の「帰ってくるな」は結論なのですが、その結論の前にあるものを話し合えば、「なんだ、そうだったのー。日本も海外もみんな幸せになろうと必死で生きてるのね。」と笑い合えることもあると思います。
知らないから、憎いんじゃないだろうかと思うのです。恐らく自分にとって大切な人が海外での生活を終えて帰ってくる人は同じようなコメントをしない。もしくは知らない人が帰国するケースでも、外国人と結婚したけどDVで精神的にも肉体的にもボロボロで帰国・・なんて状況で帰国するという事情を知れば、「頑張って帰っておいで。よく帰って来たね」って気持ちになるのではないでしょうか。
知らないってことは、余計な憎悪を生むもので、知ろうとしない、想像すらしないということが、世の中の多くの争いを生んでいるように思います。そして、争っている人たちは何で争うのかすらもわかっていないのではないだろうかと、そんなことを考える今日この頃です。