テレビが好き
テレビ離れなんて言われて久しいですが、私は今でもテレビが大好きです。しかし、テレビで見るかというとサブスク(現在はhuluを利用)やTVer、もしくは録画を使って自分の好きな時間に好きなだけ観るというのが最近の主流です。ドイツでもhuluやTVer使って日本語でテレビ観てます。便利な時代になったものです。海外ドラマ、国内ドラマ、旅番組、バラエティと何でも観ますが、最近ハマっているのがドキュメンタリー。アメリカのVICEというドキュメンタリー専門チャンネルの番組です。
その中でも面白かったのが
地球の着飾り方(原題:STATE OF UNDRESS) です。
その他、ひたすらお金持ちの浪費を体験する番組とか世界中の女性問題を扱ったものなど、お気楽なものから社会問題まで扱います。泣いたり笑ったり、これこそテレビだ、ドキュメンタリーだわと感じます。
地球の着飾り方(原題:STATE OF UNDRESS)はこんな番組です。
完全に原題の方がセンスがあるし、番組の本質を映し出しています。
この番組は世界のいろんな国で
・一般庶民がどのようにファッションに関わっているか
・日常生活の中でどのようにファッションをとらえているか
・ファッションがその国で果たす産業的役割について
などを、アメリカ人モデルのヘイリーが各国を巡りながらレポートします。コンゴ、パキスタン、中国など「ん?ファッションのイメージないんだけど?」という国々が舞台です。また、ファッションを通じてその国の人たちの普通の生活、大切にしているものが見えてくる作りで、ファッション好きでなくとも楽しめる内容となっています。また、英語もあまり難しくなくて、比較的ゆっくり話されるので、英語のリスニング訓練用としても楽しめると思います。
まず、コンゴ民主共和国。ファッションリーダーとして尊敬を集る男性が登場。贅沢し放題のように見えて、貧しい村民を雇って洋裁の工場を経営している。ファッション好き達はリーダーの元に集いグループを作る。おしゃれしても行く場所は特になく、グループで集まっては村を歩くのが活動らしい。原宿歩くのとちょっと似てる。西欧人向けに開かれたとしか思えない華やかなコレクションの一方で、国民の80%が1日1ドル以下の生活を強いられていることに感じる矛盾。でも、どんなに生活が苦しくても人々は美しい柄のワンピース、かっこいいと周囲に言われる服を求める。お腹が空いてても、心が満たされていれば一時痛みは忘れられるのでしょうか。
次はパキスタン。宗教的な制約の中のファッションが大きなテーマ。国民の97%がイスラム教徒の国で、公共の場で肌を露出することは許されていません。ですが、ショートトップスにシースルーなど、現代のファッションに肌見せは欠かせない。パキスタン人の元モデルは「独自の文化を放棄して他国の文化を取り入れる必要なんてない。美を争うのに肌を露出する必要がないと考える国は他にはないでしょ?」と言います。確かにその通り。それで満足できるなら。一方、人前で肌を出したとして、夫から酸をかけられた女性達がいます。顔が爛れてしまった元妻達。女性の美を奪うという残忍な行為。しかし、夫は妻を統制する義務があり、従わないのであれば暴力も厭わない。夫は罪に問われない。何で?と強く疑問に思いますが、話が通じない。人間を形作る基礎が違うのか。分かり合えない人というのが世の中にいるものだという事実を突きつけれらます。また、パキスタンはデニムの大輸出国です。一度、国外に輸出して、誰かが履いて、古着になって輸入されたものがパキスタン人の手に入るデニムです。すぐそこで生産しているのに手に入らないという不条理。世界は不条理に満ちている。
それぞれの国で印象的なことは異なりますが、共通点もあります。どの国にもファッション楽しむことに対して制約があります。コンゴは貧困、パキスタンは宗教、中国は言論の自由が制約です。そしてどの国も国内デザイナーを育て、国内ブランドを育て、ファッションを一大産業化しようとしている。ファッション以外に他にやることあるでしょう?という国でも人々はファッションを求め、ファッションに情熱を注ぐ。一体ファッションとは何なのか。人の欲望とは何なのかということを感じさせられる番組です。今はhuluの独占配信なのですが、もっといろんな人が観て、いろんなことを感じられるドキュメンタリーチャンネルだと思います。観て損はしないと思う。事実は小説よりも奇なり。しばらくVICEに夢中になりそうな今日この頃です。